イラストのサイズ、どう伝える? 印刷用と画面用の指定のしかた

丸型銀縁サングラスのパグが、左右2本の前足で紙と画面を持って比べる。SIZE CHECK。

イラストを頼むとき、「大きめの画像でお願いします」だけでは、必要な大きさが伝わらないことがあります。チラシに印刷するのか、SNSのアイコンに使うのかで、確かめたい数値が違うためです。

まずは、使う場所と、どのくらいの大きさで見せたいかを整理してみましょう。ここでは、写真やPNG・JPEGなど、ピクセルでできた画像を中心に、サイズを伝えるときの基本をご紹介します。

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「何px」と「何cm」を分けて考える

ピクセル(px)は、デジタル画像を構成する小さな点の単位です。「横1500px・縦1000px」は、画像に含まれる横と縦の点の数を表します。cmは、紙などに出したときの長さです。同じ画像でも、何cmに広げて印刷するかで、点の密度が変わります。

次の図1は、横8画素・縦6画素、合計48画素の画像を拡大した模式図です。ここでいう画素は画像データの単位で、画面の物理的な画素や、Webページの表示幅を指定するCSSのpxとは区別します。表示の大きさを変えることと、画像の画素数を増減することも別です。

画像の画素を説明する模式図。横8画素、縦6画素の格子は合計48画素。格子の境界と寸法線は各列・行の端に対応する。表示サイズを変えても画像の画素数は変わらない。CSSのpxはレイアウトの単位、装置の画素は画面の物理的な点で、画像の画素と同じ数とは限らない。

図1:画像の画素と縦横の画素数。格子は拡大した模式図です。

印刷では、1インチあたりに何個のピクセルを置くかを示すppiも使います。横幅の関係は、印刷幅(cm)=横のピクセル数 ÷ ppi × 2.54です。たとえば横1500pxの画像を300ppiで印刷する場合、幅は12.7cm。ピクセル数を変えずに幅25.4cmへ広げると、150ppiになります。高さも同じ考え方で確かめられます。

300ppiはここでの計算例で、すべての印刷物に共通する指定ではありません。必要な解像度は、印刷方法や見る距離、絵の内容などによって異なります。印刷会社や制作担当から指定がある場合は、それを先に確認してください。数値の関係は、Adobe公式の印刷解像度の説明でも確認できます。

印刷用は、仕上がりの大きさと条件を伝える

印刷用なら、「何に印刷するか」「絵を何cmの幅と高さで置くか」「入稿先の指定があるか」を伝えます。用紙全体のサイズと、絵を載せる部分のサイズは分けて書くと、必要な画像の大きさを相談しやすくなります。

たとえば相談メモには、「イベントのチラシに使用。絵の掲載範囲は横10cm・縦6cm。印刷会社の入稿ガイドあり。背景まで印刷するかは相談したい」と書けます。これは架空の記入例です。塗り足し、色の設定、ファイル形式などは入稿先の条件も関わるため、サイズのメモだけで入稿できると判断せず、ガイドを制作担当と共有しましょう。

すでに小さな画像がある場合は、元の制作データや、縮小する前の書き出し画像が残っているかを探してみてください。参考画像をメールやSNSから保存したものだけでなく、手元の元ファイルも渡せると、確認材料になります。

画面用は、使うサービスの指定と縦横比を確かめる

画面用なら、掲載先が指定する横・縦のpx数と縦横比を確認します。SNSのアイコン、投稿画像、ページ内の挿絵を、同じサイズで作れるとは限りません。掲載先の案内やテンプレートがあれば、リンクと用途を添えて渡しましょう。

「丸く表示されるプロフィール画像」「横長の見出し画像」のように、表示のされ方も伝えます。画像の端が切り取られる場合、顔や文字をどこに置くかを考える材料になります。具体的な安全範囲は、掲載先の現在の仕様で確認してください。

確認するときは、画像を大きく開くだけでなく、実際の掲載画面で小さく表示してみます。文字が読めるか、顔や大切な部分が切れないかを見ましょう。印刷用のppi指定を、そのまま画面用画像の見やすさの基準にしないことも大切です。

元画像を残し、用途ごとに書き出す

ピクセル数を保ったままppiの数値を変えても、元画像に含まれる細部が増えるわけではありません。画像の点の数を増減する処理は「再サンプル」と呼ばれます。拡大処理の方法はいくつかありますが、元と同じ細部が取り戻せるとは限らないので、仕上がりを見て判断します。数値の変更と点の数の変更は、Adobe公式の画像サイズ設定でも区別されています。

元画像や編集できる制作データは残し、印刷用と画面用は別ファイルで書き出すと、後で用途を変えるときにも相談できます。受け渡し前のメモには、次の三つを揃えてみてください。

  • 使う場所:チラシ、アイコン、ページ内の挿絵など。
  • 必要な大きさ:印刷は掲載するcmと入稿条件、画面は指定のpx数と縦横比。
  • 確認材料:元画像、入稿ガイドや掲載先の案内、実際に使う画面。

サイズがまだ決まっていなくても、用途と分かっている条件を伝えれば、相談の出発点になります。背景の扱いや画像の渡し方も迷う場合は、透過PNGから考えるイラストの渡し方を併せて確認してください。

使う場所を決め、印刷と画面の指定を分け、元画像を残す。この順で整理すると、「大きめに」という希望を、確かめられる条件へ置き換えられます。

サイズ指定の三つの確認。1、何に使うかを決める。2、印刷用は幅・高さcmとppi・入稿条件、画面用は横・縦pxと縦横比、実画面での切れや文字を確認。3、元画像を残し用途ごとに別ファイルへ書き出す。

図2:依頼前に整理したい、使う場所・用途別のサイズ・元画像。

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